2016 年 26 巻 2 号 p. 169-174
日本は高齢化社会を迎えつつある。本論文は1970年1月から2014年9月までの間に自治医科大学附属病院で治療を受けた75歳以上のstage III/IV 頭頸部癌患者(甲状腺癌を除く)125人を後方視的に検討した。放射線治療は46人に行われ,3人が嚥下性肺炎とせん妄で治療が中断となった。放射線治療終了1か月以内に6人が合併症を生じた。嚥下性肺炎,せん妄,脳梗塞,急性腎不全であった。34人に手術が行われた。喉頭全摘出術が11人,咽頭喉頭食道切除・再建術が10人,舌切除・再建術が3人,切除術が10人であった。舌切除・再建術3人のうち2人は嚥下性肺炎を認めた。緩和治療は28人に選択された。Performance status 2以上の場合には治療関連合併症出現の割合が多かった。