頭頸部外科
Online ISSN : 1884-474X
Print ISSN : 1349-581X
ISSN-L : 1349-581X
教育セミナー7
聴神経腫瘍の治療方針の選択
―特に手術適応の判断について―
和田 哲郎
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 26 巻 2 号 p. 175-181

詳細
抄録

聴神経腫瘍の治療方針には,(1) 経過観察 (wait and scan),(2) 放射線治療,(3) 摘出術がある。しかし個々の症例でどれが最善かの選択は容易ではない。耳鼻咽喉科の役割はまず早期に診断することである。更に,診断から治療前の過程では,治療方針決定のガイドとしての役割が求められる。手術リスクが強調されすぎるのは妥当ではない。超音波手術器や顔面神経モニタリングを用いて,より安全な手術を目指すことは可能である。治療から治療後の過程では,神経機能を守る立場から積極的に関与していくことが重要である。耳鼻咽喉科単独で完結できる疾患ではないが,求められる役割は多岐に及ぶ。更に多くの耳鼻咽喉科医が積極的に関わっていくことが望まれる。

著者関連情報
© 2016 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top