2016 年 26 巻 2 号 p. 183-186
頭頸部外科臨床に病理診断は不可欠であるが,患者に益する病理診断のためには適切な検体の取扱い,肉眼診断に基づく手術材料の切り出しと標本作製,適切な病理依頼書の臨床情報をもとにした顕微鏡診断が求められる。これらは病理サイドのみで成り立つものではなく,頭頸部外科医と病理医との協調が極めて大切である。特に病変の肉眼像に習熟することは画像診断や病理所見を理解するのに役立ち,腫瘍径,TNM分類の情報を臨床医-病理医間で共有することも重要である。また近年,頭頸部領域における新しい腫瘍概念として乳腺相似分泌癌,NUT midline carcinomaが認知されつつある。