頭頸部外科
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症例
喉頭浮腫を契機に発見されたHER2陽性腺癌による原発不明頸部転移癌の1例
御子柴 卓弥宇野 光祐小澤 宏之伊藤 文展渡部 佳弘冨田 俊樹小川 郁
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2016 年 26 巻 2 号 p. 265-269

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抄録

今回,喉頭浮腫をきたしたHER2陽性腺癌による原発不明頸部転移癌の1例を経験したので報告する。症例は55歳女性で,両側頸部腫脹を主訴に当院受診した。経過中に喉頭浮腫を認め,保存的加療も奏功せず,顔面・頸部浮腫も出現した。頸部リンパ節生検では腺癌の転移を認め,腫瘍細胞はHER2陽性であった。同時に行った皮膚生検では癌性リンパ管症の所見を認めた。全身精査の結果,原発不明頸部転移癌と診断された。腋窩リンパ節転移も認め,乳癌に準じて抗HER2薬を含む化学療法を行ったところ,浮腫は著明に改善した。喉頭浮腫の鑑別として癌性リンパ管症を念頭におくべきである。また,HER2陽性原発不明腺癌では,腋窩リンパ節の評価を踏まえた上で抗HER2薬の投与を検討すべきである。

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© 2016 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
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