抄録
サーファーズイヤー(外耳道外骨腫)は,長期にわたる慢性的な冷水刺激が外耳道に加わることにより,骨部外耳道に生じる骨増殖性隆起である。当教室では,2009年7月から2015年7月までの6年間に,8例13耳のサーファーズイヤー手術症例を経験した。手術は全例耳内切開で行い,合併症はなく良好な結果を得た。1症例を提示し手術手技を詳述した。外耳道では過剰な骨削開により,前壁では顎関節包,後方では乳突蜂巣,および顔面神経を損傷するリスクがある。特に顔面神経の走行は,鼓膜輪との位置関係にバリエーションがあり,外耳道外骨腫の手術合併症予防の観点から,手術手技に関する文献的考察を加えた。