2018 年 28 巻 2 号 p. 233-237
甲状腺手術において,反回神経の同定と温存は重要な課題である。今回,反回神経麻痺出現のリスクが高いと判断された症例に対して,そのリスクを減じる目的で迷走神経の術中持続神経モニタリングを行った。対象は6例で全て甲状腺癌(乳頭癌5例,未分化癌1例)であった。性別は男性2例,女性4例であり,年齢は40歳から83歳(平均60.2歳),術式は甲状腺全摘が5例,甲状腺右葉切除が1例であった。術後の喉頭所見と術中評価は合致しており,信頼性は高いものと考えられた。特に,経験が浅い医師が執刀する際には,不適切な手術操作での麻痺の出現リスクが低下し,安全性が向上すると考えられた。