頭頸部外科
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症例
甲状腺転移をきたした腎細胞癌の2症例
宿村 莉沙實川 純人山㟢 徳和山下 恵司高野 賢一氷見 徹夫
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2020 年 30 巻 1 号 p. 55-59

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抄録
腎癌術後に甲状腺転移をきたし,外科的摘出術を施行した2症例を経験したので若干の考察を加え報告する。  症例は,24年前に左腎癌で左腎摘出術を施行された71歳女性と,3年前に右腎癌で右腎摘出術を施行された69歳女性である。2症例とも右前頸部腫脹を主訴に受診され,甲状腺右葉の腫瘍を認めたため吸引細胞診検査を施行し,それぞれClassⅤ,ClassⅢという結果であり外科的摘出術を施行した。両症例ともに病理診断の結果は淡明細胞型腎細胞癌であり,腎癌の甲状腺転移と診断された。  腎癌の遠隔転移は,外科的切除で有意に生存率が延長されるとの報告があり,腎癌の既往がある甲状腺腫瘍に対しては転移の可能性も考慮し,手術適応を判断すべきである。
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