2021 年 31 巻 1 号 p. 33-38
近年,検査機器の発達によって咽喉頭部でも表在がんが発見され,手術手技の革新により経口的に切除可能になった。今回,食道表在癌で用いられている拡大内視鏡を中心に,中下咽頭癌に対して後方視的にTransoral Surgery症例を検討した。2016年1月からの3年間で拡大内視鏡診断を確認し得た40症例,45病変について検討した。結果,拡大内視鏡診断におけるB2・B3病変と上皮下浸潤には強い関連を認め,術前の深達度診断として感度・特異度ともに高い結果となった。重度の術後合併症も散見する中で,術前に拡大内視鏡診断を確認できれば切除範囲の広さ・深さや合併症の懸念を持って手術に臨めるのではないかと思われた。