頭頸部外科
Online ISSN : 1884-474X
Print ISSN : 1349-581X
ISSN-L : 1349-581X
症例
グロムス腫瘍を疑った中耳腺腫例
岡上 雄介児嶋 剛大槻 周也長谷部 孝毅山本 浩孝柚木 稜平庄司 和彦堀 龍介
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 31 巻 1 号 p. 77-83

詳細
抄録

中耳腺腫は非特異的な臨床所見を呈する稀な疾患であり,鑑別が難しい。組織検査にて確定診断が得られるが,中耳カルチノイドとは組織学的にも区別が難しく,類義疾患とされている。今回われわれは術前にグロムス腫瘍を疑って手術を行い,術後に中耳腺腫と診断された1例を経験したので文献的考察を加え報告する。症例は67歳女性。右難聴,拍動性耳鳴を主訴に鼓室内腫瘤が疑われ当科を紹介受診した。鼓膜から透見される赤色拍動性腫瘤を認めた。CT,MRIにて鼓室内に強い造影効果を呈する腫瘤を認め,グロムス腫瘍が疑われた。手術前日に血管塞栓術を行い,腫瘍を摘出した。術後病理検査で中耳腺腫と診断された。現在再発なく経過観察中である。

著者関連情報
© 2021 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top