抄録
【背景】頭頸部癌患者には重複癌が生じやすく頭頸部領域と上部消化管の重点的検索が必要であるが,口腔癌に限った重複癌部位と年齢等のリスク因子に関する報告は少ない。
【方法】当院で加療した口腔癌患者155人を対象とした後ろ向き観察研究。
【結果】同時性重複癌11例,異時性重複癌39例,同時性かつ異時性重複癌3例を認めた。重複癌のリスク因子は,同時性ではPack-year 25以上,異時性では67歳以上とPack-year 37以上であった。若年または非喫煙者の上部消化管に生じた異時性重複癌は3例と少なかった。
【結語】60歳未満または非喫煙者においては,上部消化管内視鏡による食道癌,胃癌の指摘率は少なかった。