抄録
2012年1月-2019年12月に耳下腺病変に手術を施行した224例を検討した。良性病変192例,悪性腫瘍32例であった。悪性腫瘍の良悪性正診率は高悪性症例で75.0%,低中悪性症例で27.3%であった。良性病変の顔面神経へのアプローチは中枢アプローチ130例,末梢アプローチ56例で,術後顔面神経麻痺は25.0%であった。末梢アプローチは中枢アプローチと比べて,手術時間と術後入院日数が有意差をもって短く,術後顔面神経麻痺の出現率が高い結果となったが有意差は認められなかった。また末梢アプローチで術後顔面神経麻痺は全症例で治癒した。病変の局在でアプローチ方法を選択することは有用と考えられた。