頭頸部外科
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症例
鼻内視鏡下上咽頭切除術にて判明した頭蓋底骨髄炎の1例
上野 貴雄遠藤 一平中沢 僚太郎吉崎 智一
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2021 年 31 巻 2 号 p. 171-176

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抄録
頭蓋底骨髄炎は,外耳道以外にも,中耳,副鼻腔などからの感染波及により生じ,悪性腫瘍との鑑別が問題になる。今回,われわれは上咽頭悪性腫瘍が疑われ鼻内視鏡下上咽頭切除にて判明した頭蓋底骨髄炎の1例を経験した。当院受診時は,感染所見を認めず,悪性腫瘍が疑われたが,鼻内視鏡下上咽頭切除にて上咽頭深部に膿汁を認め,緑膿菌が検出された。半年前の中耳炎の起炎菌と一致し,中耳緑膿菌感染が原因と考えられた。斜台部の骨破壊を認めた場合には,過去の感染歴や,わずかな炎症反応にも注意を払う必要がある。鼻内視鏡下上咽頭切除術にて病巣の広範囲切除,深部病巣からの培養や術後の監視培養が可能であった。
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