抄録
甲状腺髄様癌(MTC)が疑われる患者の術前検査でFNACが行われ,またカルシトニンとCEAの測定も行われる。加えて,米国と日本のMTCガイドラインでは,MTCの1/3がRET遺伝子変異を伴う遺伝性であり,術前に遺伝子検査を行い散発性か遺伝性かを確定することが推奨される。散発性MTCでは片葉切除も可能だが,遺伝性MTCでは頸部郭清を含めた甲状腺全摘出を行う必要がある。今回当科で加療を行いMTCの診断となった4症例について,RET遺伝子検査を含む治療経過を報告する。RET遺伝子検査を行った症例の経過より,MTCと診断された患者の術式を決定するために,術前検査としてRET遺伝子検査は有用である。