2023 年 33 巻 1 号 p. 67-71
結節性筋膜炎は,皮下組織や深在性筋膜に生じる良性結節であるが,短期間で増大し周囲組織に浸潤することから悪性腫瘍との鑑別が問題となる。病態は線維芽細胞の増殖であるが,発症要因は解明されておらず,反応性増殖性疾患と腫瘍性疾患の双方の側面をもつ。多くは特発性であるが,術後に発生する報告が散見される。今回,耳下腺腫瘍術後に生じた結節性筋膜炎の1例を経験した。症例は21歳,女性。耳前部に生じた耳下腺多形腺腫を摘出した7か月後に創部近傍の耳後部に腫瘤が生じた。術前診断は困難であったが,増大傾向であったため摘出術を施行した。病理組織検査で結節性筋膜炎と診断し,術後およそ1年半,再発なく経過している。