頭頸部外科
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当科における中咽頭扁平上皮癌の治療成績持続動注放射線併用療法の意義について
稲上 憲一山田 哲生清水 猛史原田 輝彦間島 雄一
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2001 年 11 巻 3 号 p. 109-114

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抄録

 当科における中咽頭癌の治療方針は側壁型,上壁型に対しては放射線治療と化学療法の併用を,前壁,後壁型に対しては術前照射,手術を基本としてきた。なかでも側壁型や上壁型には動注と照射の同時併用により機能温存をし,かつ原発巣の制御率の向上を目指してきた。1985年~'98年の14年間の当科における中咽頭扁平上皮癌の根治治療例で2年以上観察できた症例は47例であった。47例のうち側壁型と上壁型の37例(動注群19例,非動注群18例)につき,その治療成績を持続動注放射線併用療法(動注群)とその他の治療法(非動注群)とを比較検討した。局所制御率は動注群が15/19(79%)非動注群が9/18(50%)と前者が有効であったが,5年での死因特異的生存率ではそれぞれ54%,53%であった。頸部リンパ節の制御率には差はなかったが,遠隔転移死が動注群に6例,非動注群に1例みられた.このことより持続動注放射線併用療法は今後検討の余地があると考えられた。

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