頭頸部外科
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11 巻, 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 殿内 一弘, 山本 昌彦, 吉田 友英, 野村 俊之, 八十島 唯幸
    2001 年 11 巻 3 号 p. 97-102
    発行日: 2001/12/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     84歳男性の外耳道を閉鎖するガラス異物の症例を報告した。耳介の裂傷で入院した既往があり,この際に外耳道異物は認められなかった。左耳漏を訴え受診し,外耳道を閉鎖するガラス異物がみられた。単純レントゲンでは異物の陰影は認められず,側頭骨CTでは,外耳道に異物を確認できた。局所麻酔で耳後部を切開して摘出した。ガラス片は12×24×3mmであった。ガラス片が,単純レントゲンに写るかを確認するために頭部ダミーを使い実験をした。ガラス片は耳介上部の側頭骨面では写るが,骨の厚い乳突部では写らなかった。乳突部にガラス異物の混入が疑われる場合にはレントゲン撮影だけでは不十分であり,乳突部周囲のCTが必要であると思われる。
  • 志賀 清人, 舘田 勝, 西條 茂
    2001 年 11 巻 3 号 p. 103-108
    発行日: 2001/12/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     頸動脈小体腫瘍は比較的稀な疾患であるが家族内発症例も報告されている。我々は父親とその娘にこの腫瘍が認められた例を経験した。父親は右頸動脈小体腫瘍の他,左副咽頭間隙にも腫瘍がありこれも病理組織学的には頸動脈小体腫瘍とおなじparagangliomaであり頸部に同時性に多発した迷走神経傍神経節腫と考えられた。また娘の腫瘍はリンパ節転移を伴っており悪性と診断した。いずれの腫瘍も動脈造影所見では周囲に多数の血管が存在する血流に富む腫瘍であった。両者とも摘出術を行ったが術後に父親は左IX,X,XII脳神経麻痺を,娘は左Xの脳神経麻痺を合併した。
  • 稲上 憲一, 山田 哲生, 清水 猛史, 原田 輝彦, 間島 雄一
    2001 年 11 巻 3 号 p. 109-114
    発行日: 2001/12/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     当科における中咽頭癌の治療方針は側壁型,上壁型に対しては放射線治療と化学療法の併用を,前壁,後壁型に対しては術前照射,手術を基本としてきた。なかでも側壁型や上壁型には動注と照射の同時併用により機能温存をし,かつ原発巣の制御率の向上を目指してきた。1985年~'98年の14年間の当科における中咽頭扁平上皮癌の根治治療例で2年以上観察できた症例は47例であった。47例のうち側壁型と上壁型の37例(動注群19例,非動注群18例)につき,その治療成績を持続動注放射線併用療法(動注群)とその他の治療法(非動注群)とを比較検討した。局所制御率は動注群が15/19(79%)非動注群が9/18(50%)と前者が有効であったが,5年での死因特異的生存率ではそれぞれ54%,53%であった。頸部リンパ節の制御率には差はなかったが,遠隔転移死が動注群に6例,非動注群に1例みられた.このことより持続動注放射線併用療法は今後検討の余地があると考えられた。
  • 桜井 一生, 門山 浩, 堀部 晴司, 宮城島 正和, 間宮 淑子, 内藤 健晴
    2001 年 11 巻 3 号 p. 115-118
    発行日: 2001/12/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     頸動脈小体腫瘍の1症例を経験したので報告した。症例は69歳の男性で左顎下部の無痛性腫瘤を主訴として受診した。腫瘤は30mm大で触診にて拍動を認めたが,可動性は乏しかった。術前画像診断は,造影CT検査で左顎下部の腫瘤は強く造影され,頸動脈造影では外頸動脈,内頸動脈分岐部に造影効果の著しい腫瘤を認めた。以上より頸動脈小体腫瘍と診断した。術前にMatasテストと脳血流SPECTを行い,頸動脈の遮断が可能であることを確認し,全身麻酔下に腫瘍摘出術を行った。腫瘍と頸動脈分岐部との剥離は困難で分岐部を合併切除し,総頸動脈と内頸動脈を端々吻合した。術後の合併症はなく経過は良好である。
  • 石田 春彦
    2001 年 11 巻 3 号 p. 119-122
    発行日: 2001/12/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     鼻副鼻腔乳頭腫23例について検討した。18例が初回手術例,5例は再手術例であり,内向発育型が18例,外向発育型が5例であった。また13例(57%)は上顎洞に,12例(52%)は節骨洞に進展していた。手術は腫瘍が上顎洞のみに進展している場合には犬歯窩経由で行い,節骨洞への進展が認められる場合は側鼻切開による鼻外的節骨洞手術またはmedial maxillectomy,腫瘍が鼻腔内に限局している場合は鼻内法で行った。23例中4例で癌の合併または癌化が認められた。再手術例5例中4例は内向発育型であり,また再発部位は全例節骨洞が関係していた。当科で乳頭腫の術前診断で手術を行った症例には再発はなかった。
  • ―不要な手術を回避するために―
    山田 弘之, 藤田 健一郎, 徳力 俊治, 石田 良治
    2001 年 11 巻 3 号 p. 123-128
    発行日: 2001/12/30
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
     1986年9月から2000年8月までの14年間に当科で慢性甲状腺炎20例の手術を行った。悪性腫瘍の合併を疑って手術を施行した症例が15例あり,うち細胞診でclass III であった症例が6例あった。半葉切除以下の切除が17例に,亜全摘以上の切除が3例に行われた。全摘を行った2例は甲状腺の腫大が顕著で,気道・食道の症状を呈していた。慢性甲状腺炎での細胞診では,腫瘍性病変がなくともclass IIIと判定される場合があり,その解釈はより慎重であるべきである。慢性甲状腺炎の存在をより確実に診断するために,甲状腺関連自己抗体のうち,少なくとも抗Tg抗体の測定が求められる。
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