頭頸部外科
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上顎全摘術
加藤 孝邦波多 野篤斉藤 孝夫清野 洋一
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2005 年 15 巻 1 号 p. 17-22

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抄録
 上顎全摘術は上顎悪性腫瘍の基本術式である。扁平上皮癌に対しては多くの場合集学的治療が行われているが,扁平上皮癌以外の悪性腫瘍では上顎全摘術が行われる。上顎全摘術では内視鏡を用いることにより視野を確保して明視下に手術操作を行うことができる。殊に眼窩骨膜の剥離や鼻腔底粘膜の切断,上咽頭の切断などに有用である。出血を最小限にするには下顎骨筋突起を切断して顎動脈を結紮してから手術を進めるのがコツである。術後形態を維持するには門歯2本を残すことと頬骨隆起を作成し,眼球の下垂を防御することが大切である。眼窩底に頭蓋骨外板を用いて眼位と頬部の膨らみを確保して腹直筋皮弁で覆い再建するのが優れている。
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© 日本頭頸部外科学会
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