2005 年 15 巻 1 号 p. 23-25
上顎洞癌に対する集学治療の主たる治療は切除手術と考える。当科で施行されている分割切除による腫瘍全摘出術を呈示する。手術は顔面皮膚切開をおかずに上顎歯肉部を切開しおこなう。腫瘍組織を覆う被膜様線維組織を確認し,剥離操作を行うことが手術操作のポイントである。可能なかぎり腫瘍組織に切り込まずに腫瘍組織を周囲より剥離摘出する。広範囲に眼窩底骨や骨膜が切除された場合には残存骨膜を絹糸でできるだけよせ,眼球の下方への偏位を少なくする。頭蓋底の骨欠損を認め硬膜に腫瘍組織が接する場合には,手術用顕微鏡下に硬膜と腫瘍組織を剥離する。