頭頸部外科
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耳小骨形成―適応と再建術
暁 清文
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2005 年 15 巻 1 号 p. 27-31

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抄録
 耳小骨形成の成否は中耳病変の程度や耳小骨の可動性,耳管機能の良否など様々な因子の影響を受ける。一般にキヌタ骨に欠損があり,アブミ骨の状態が良好な場合はIII型の適応となる。この際のコルメラ材料には可能な限り残存耳小骨や皮質骨,軟骨などの自家材料を用いる。術式はIII-i型が望ましいが,形成が難しい場合はIII-c型とする。IV型の適応は,1)アブミ骨の上部構造が消失している場合,2)上部構造が菲薄化し壊死傾向にある場合,3)アブミ骨脚が傾斜し骨頭にコルメラが乗せられない場合,などである。IV型には専らアパセラム耳小骨を使用している。これは形成が難しいコルメラ作成の手間がかからない,適度な硬度があり伝音特性が優れている,顔面神経稜や外耳道後壁との骨性癒着がおこらない,などの理由による。アパセラム耳小骨の排出は鼓膜との間に薄切した軟骨を挿入することで回避できる。
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© 日本頭頸部外科学会
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