抄録
結核性中耳炎の3症例を報告する。1978年から2001年の間に宮崎大学あるいは関連病院の耳鼻咽喉科にて経験した男性2例,女性1例で,いずれも初診時は急性化膿性中耳炎の診断にて治療開始され,臨床経過から結核性中耳炎が疑われ確定診断に至った。いくつかの臨床診断基準が報告されているが,早期診断は依然として容易ではなく,通常と異なる臨床経過を見過ごさないことが大切である。本症例のように耳疾患の既往のない急性中耳炎症例では,耳痛を伴わず治療に抵抗する場合,結核性中耳炎の鑑別診断を行う必要があると思われた。