1994 年 4 巻 2 号 p. 109-115
大胸筋皮弁を採取する際の手術手技の実際と留意点について述べた。切開皮膚のundermineは十分にとり,大胸筋全体を挙上する方が軸血管を温存しやすく出血も少ない。特に軸血管周囲の手術操作は電気メスを使わず丁寧に行う。またピボットポイントにあたる鎖骨の軟組織は十分除去し,血管柄が翻転する鎖骨部は決して圧迫しないよう術中術後を通じて注意しなければならない。大胸筋皮弁は筋体裏面の栄養軸血管の走行のvariationtも少なく,ここに述べた手順で行えば安全に筋皮弁採取が可能である。