頭頸部外科
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頸部郭清術:NOリンパ節の処理
―顎下部・オトガイ下部領域について―
河田 了村上 泰
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1996 年 6 巻 3 号 p. 155-160

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抄録

 N0症例でも,顎下部・オトガイ下部リンパ節領域を予防的に郭清することは,特に口腔癌の場合少なくない。この領域の郭清では顔面神経下顎縁枝の温存が最も問題となる。顎下部にリンパ節転移があれば,下顎縁枝の切除もやむをえないが,NO症例では極力温存したい。また顎下部・オトガイ下部リンパ節転移は他領域に比べて,診断が難しく,また炎症性リンパ節腫脹も多くみられるという問題点もある。我々はNO症例で顎下部・オトガイ下部を郭清するとき,下顎縁枝を明視下におくのではなく,顎下腺下縁で直接顎下腺被膜にはいり,上方へ下顎骨まで剥離しその時点であらためてリンパ節腫脹の有無を確認することによって下顎縁枝の保護に努めている。このような手技により,神経保護がより正確になり,また肩甲舌骨筋上頸部郭清術の場合手術侵襲も少ないため,口腔癌T2 N0症例でも積極的に予防的頸部郭清術を施行している。

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© 日本頭頸部外科学会
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