1996 年 6 巻 3 号 p. 161-166
傍気管部リンパ節にたいする予防的郭清の必要性については,一般的なコンセンサスを得ていると考えられるが,その細部については曖昧である。我々の施設では,過去の症例における傍気管部リンパ節転移の状況より,声門上癌と初期声門癌を除く喉頭癌,下咽頭癌,頸部食道癌,気管癌など転移頻度の高いものを予防的郭清の適応としている。郭清範囲は原発巣の下方進展状態により少し異なり,下咽頭・頸部食道癌や声門下癌などでは上縦隔に向かってできるだけ深く郭清をおこなっている。ここでは,我々の施設での手術手技を中心に紹介する。