園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
原著論文(英文)
ナス属台木に接ぎ木したトマト接ぎ木接合部における通水性
小田 雅行丸山 昌也森 源治郎
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 74 巻 6 号 p. 458-463

詳細
抄録

接ぎ木した植物が長期間生育した後に突然萎れるようになり, その後枯死する現象は, 遅延型接ぎ木不親和の症状である. 矮性台木に接ぎ木した植物は根の通水性が低いことが明らかにされているが, 遅延型接ぎ木不親和において接ぎ木部の通水性が低いか否かは明らかにされていない. そこで, トマト, ナスおよびトルバム (Solanum torvum) に接ぎ木したトマトの生長, 茎の肥大, 水ポテンシャルおよび接ぎ木部の通水抵抗を調べるとともに, 接ぎ木部を組織観察した. その結果, 接ぎ木接合面直上の茎周長, 水ポテンシャルの絶対値, 通水抵抗および接ぎ木接合面直上の導管湾曲は, トルバム台で最も大きく, ナス台ではこれに続き, トマトの共台で最も小さかった. これらのことから, 接ぎ木部における通水性の低下が遅延型接ぎ木不親和の一因であることが示された.

著者関連情報
© 2005 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top