ネギのさび病抵抗性を改良するため, ‘聖冬一本’, ‘岩井2号’, ‘長寿’, ‘せなみ’, ‘冬扇一本’, ‘豊川太’の6品種を育種素材 (C
0) として循環選抜を行った. 循環選抜の1サイクルは2段階からなり, 最初の年に自殖および自殖系統選抜を行い, 2年目に相互交配および母系系統選抜を行った. 2サイクルの循環選抜により, 10母系系統からなる改良集団 (C
2) を得た. さらに, 2世代の自殖と自殖系統選抜を行い, 13のC
2S
2系統を得た. 実施した循環選抜の効果を評価するために, 2回の接種検定により上記の選抜で得られた全世代のさび病抵抗性の程度を比較した. 春季および秋季の接種検定において, 発病程度の指標であるarea under the disease progress curve (AUDPC) の値は循環選抜が進むにともない明らかに減少し, 抵抗性の向上が認められた. C
1からC
2世代にかけて抵抗性の変化は小さかったものの, C
2S
2世代では大幅な向上が認められ, C
2S
2系統のAUDPCは素材品種の約38%となった. 以上の結果, ネギのさび病抵抗性の改良に循環選抜は有効であることが実証された.
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