2013 年 55 巻 2 号 p. 287-293
症例は25歳,女性.右下腹部痛を主訴に来院し,腹部超音波・CT検査で大腸型腸重積を疑った.整復目的に大腸内視鏡検査を行い,上行結腸に盲腸の隆起性病変(腫瘤)を先進部とする腸重積を認めた.腫瘤は太い有径性で径20mm大,広範なびらんと粘液の付着があり若年性ポリープなどが疑われた.整復50日後,再評価目的で行った内視鏡検査では瘢痕を残して腫瘤は完全に消失し,重積時の虚血により自然脱落したと推測された.成人腸重積は稀だが悪性腫瘍が原因であることが多く,外科治療を行うことが多い.今回,腸重積を惹起したにも関わらず,内視鏡的整復のみで治療しえた大腸腫瘤を経験したため若干の文献的考察を加え報告する.