園芸学会雑誌
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原著論文
SSR およびゲノムスキャニング (RLGS) 法を用いたモモ枝変わり品種の解析
間瀬 誠子池谷 祐幸佐藤 義彦
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2007 年 76 巻 1 号 p. 20-27

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抄録

モモの枝変わり品種における遺伝的変異を調査した.枝変わり品種であると考えられている 7 品種とそれらの原品種を供試し,第一に,SSR 解析により,原品種との遺伝的関係を確認した.続いて,ゲノムスキャニング (RLGS) 解析を行い,枝変わり品種と原品種間の遺伝的変異の検出を試みた.17の SSR 遺伝子座の解析結果から,‘嶺鳳’,‘長沢白鳳’の 2 品種は原品種と全ての SSR 遺伝子型が一致し,枝変わり品種であると推定された.一方,‘八幡白鳳’,‘おどろき’,‘加納岩白桃’の 3 品種は原品種と SSR 遺伝子型が異なり,枝変わり品種ではないことが新たに判明した.また,‘暁星’は枝変わり品種であり,‘日川白鳳’は枝変わり品種ではないことが再確認された.この結果から,モモにおいては枝変わりではない系統が枝変わり品種として品種登録されている可能性があることが示唆された.RLGS 解析では,NotI をランドマーク制限酵素として用いることにより,約400個のスポットから成るプロファイル(DNA 二次元電気泳動像)が安定的に得られた.それらを比較した結果,SSR 解析では識別ができなかった枝変わり品種と原品種間,‘暁星’と‘あかつき’,‘長沢白鳳’と‘白鳳’間においてスポットの相異が検出された.このように,RLGS は突然変異系統に生じた極めて小さい遺伝的変異を検出することができる有効な方法であることが示された.

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