植物における主要な光合成産物は,一般にスクロースであると考えられている.しかし,バラ科果樹を含む多くの園芸作物はポリオール(糖アルコール)を合成し,利用する.本総説では,まず,バラ科果樹におけるソルビトールとマンニトールの代謝と輸送に関する最近の生理学的研究について解説するとともに,その他の様々なポリオールに関する研究を紹介した.また,ポリオールは園芸作物において,光合成産物の転流と貯蔵に寄与するとともに,生物的あるいは非生物的ストレス応答に関与する.そこで,ポリオール代謝に関連した病原性や環境ストレス耐性の生化学的メカニズムについて,組換えによるストレス耐性付与やポリオール分子の機能を含めて解説した.