Journal of the Japanese Society for Horticultural Science
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原著論文
キュウリにおける 2,6-ジクロロイソニコチン酸によるうどんこ病抵抗性の誘導と活性酸素関連酵素の活性化との関連性
Kang Nam Jun
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2009 年 78 巻 2 号 p. 185-194

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抄録

2,6-ジクロロイソニコチン酸(INA)の葉面散布が,キュウリにおけるうどんこ病感染を抑制した.INA 散布の有無により,スーパーオキシドジムスターゼ(SOD)とペルオキシターゼ(POD)のアイソザイムバンドパターンの主たるバンドの濃さが異なった.INA 処理の 3 日後には SOD と POD アイソフォームの濃度が急激に増加し,SOD と POD の活性も INA 処理で高まった.INA 非散布の植物でも,病原菌を接種すると 9 日後にはコロニーの発達につれて酵素活性が高まったが,INA 処理植物ほどのレベルには達しなかった.INA 処理植物では β-1,3グルカナーゼが確認され,その活性も高かった.INA 処理植物の SOD や POD の活性,β-1,3 グルカナーゼの発現は oxidative burst の阻害剤であるジフェニレンヨードニウム(DPI)によって一旦抑制されたが,処理 6 日後には β-1,3 グルカナーゼのアイソザイムバンドが現れ SOD や POD も増加した.SOD や POD の活性は H2O2 処理した葉で増加したが,β-1,3 グルカナーゼアイソフォームは検出されなかった.これらの結果は,INA の葉面散布による活性酸素関連酵素の活性化がキュウリにおけるうどんこ病抵抗性を誘導する防御反応に関係していることを示唆している.

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© 2009 園芸学会
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