Journal of the Japanese Society for Horticultural Science
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原著論文
Agrobacterium rhizogenes を利用した効率的なラバンジン形質転換体の作出
津呂 正人池戸 宏行加藤 宏恵
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ジャーナル オープンアクセス

2009 年 78 巻 2 号 p. 236-241

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抄録
ラバンジンの効率的な形質転換法の開発を目的として,pIG121-Hm を保持した野生型 Agrobacterium rhizogenes を感染に供試し,ベクターとしての有効性を調査した.GUS 発現を指標として葉片と葉由来カルスに対する感染性を比較したとき,カルスのみで発現が確認され,これらカルスのうち 27.3%が毛状根を形成した.毛状根を外植片として種々の濃度の 6-ベンジルアミノプリン(BA),チジアズロン(TDZ)あるいは N-(2-chloro-4-pyridyl)-N'-phenylurea(CPPU)を添加した培地で培養したとき,いくつかの培地で不定芽の形成が認められた.不定芽の形成は培地に添加した植物成長調節物質の種類と濃度に強く依存しており,0.02 mg·L−1 CPPU 添加培地で最も高い形成率(77.5%)であった.毛状根から形成したシュートは容易に再発根し,馴化も容易であった.このようにして得られた形質転換体の獲得率は 20.3%であり,A. tumefaciens を感染させたカルスから 1.0 mg·L−1 BA 添加培地で不定芽を誘導させた後,根を形成させる従来の形質転換体獲得法によって得られた獲得率である 3.3%と比較して 6 倍以上高かった.以上の結果より,ラバンジンにおいて A. rhizogenes をベクターとしたとき効率的に形質転換個体を得ることができることが明らかとなった.
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© 2009 園芸学会
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