抄録
ブンタン[Citrus maxima (Burm.)Merr.]‘晩白柚’の半数体を誘導するために,軟 X 線照射花粉を受粉して着果と種子発育に及ぼす影響を調査するとともに,胚珠培養を行った.軟 X 線を照射した‘福原’スイートオレンジ[C. sinensis (L.)Osbeck]の花粉を‘晩白柚’に受粉すると,着果率はやや低下した.また,1 果実当たりの種子数は照射量の増加に伴い減少した.しかしながら,これらの交雑から得られた実生はすべて二倍体であった.一方,軟 X 線を照射した‘福原’スイートオレンジと‘土佐文旦’(C. maxima)花粉を受粉して胚珠培養を行うと,6 系統の半数性を示す胚様体が誘導された.その内,400 Gray 照射した‘土佐文旦’花粉を受粉後 40 日に胚珠培養した胚様体から染色体数 9 本を有する半数体植物が 1 個体得られ,RAPD および CAPS 解析によりこの半数体は‘晩白柚’由来であることが示された.