Journal of the Japanese Society for Horticultural Science
Online ISSN : 1882-336X
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総説
花きにおける花弁老化の分子機構
渋谷 健市
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ジャーナル オープンアクセス

2012 年 81 巻 2 号 p. 140-149

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抄録
花持ちは花きにおける最も重要な品質構成要素の一つである.エチレンは,多くの植物種の花弁老化において主要な役割を果たしている.これまでに,エチレンの生合成および受容・情報伝達に関わる遺伝子が数種の花きで同定されている.また,エチレン情報伝達系遺伝子に関する組換えにより,花の寿命を延長できることが報告されている.これに対し,エチレンに依存しない老化を示す花きの花弁老化制御機構に関しては,未だ不明な点が多い.アサガオ(Ipomoea nil)は,エチレン非依存型花きのモデル植物として提唱されており,これまでにオートファジーがアサガオ花弁の老化において重要な役割を果たしていることが示されている.本総説では,著者らのエチレン情報伝達系に注目した研究について概説し,また,エチレン非依存型花きの老化を制御する因子の探索について紹介する.
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© 2012 園芸学会
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