2012 年 81 巻 2 号 p. 166-170
日本ではホワイトアスパラガスの生産には培土法とフィルム被覆法の二種類の軟白法が用いられている.本研究は,ホワイトアスパラガスの食味,特に甘さと苦さに関与する成分含量に対するこれら二法の影響について比較することを目的とした.春収穫における圃場サンプリング調査および冬季伏せ込み促成栽培における比較試験において,二種類の軟白法によって生産されたホワイト若茎中の甘み成分である糖(フルクトース,グルコース,スクロース)含量およびホワイト若茎に含まれる主要な苦み成分であるサポニン化合物のプロトディオシン含量を調査した.その結果,糖含量および糖組成については,圃場サンプリング調査および比較試験の双方において軟白法による差は認められなかった.プロトディオシン含量については,圃場調査にて培土法で軟白した若茎で高い傾向が認められ,比較試験の結果,培土法により有意に含量が高くなった.これらの結果から,軟白法の違いによるホワイトアスパラガス若茎の風味の差は,主にプロトディオシンに代表されるサポニン含量に起因するものであり,サポニン含量はなんらかの土壌由来のストレスに影響されているものと考えられた.