Journal of the Japanese Society for Horticultural Science
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原著論文
スイカ果実における果肉細胞の大きさ,酸性インベルターゼとスクロースリン酸合成酵素活性および糖含量に及ぼす着果枝加温の影響
加納 恭卓松本 淳青木 佑介真館 辰弥
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2012 年 81 巻 2 号 p. 171-176

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抄録
石川県で 6 下旬ごろ出荷されるスイカでは果実中のスクロース含量が低下する.この原因は果実発育初期における夜間の低温であることをすでに明らかにし,夜間果実だけを加温すればスクロース含量の低下は防止できることを示した.しかし,果実だけを加温する方法は装置作製に経費を要すると同時に果実への装着にも労力がかかる.そこで,果実近傍の枝を加温すれば果実を加温することができると考え試験を行った.着果枝を開花 5 日目から最低 30℃で加温し続けた.午前 0 時から早朝 6 時までのビニルハウス内の温度は,12.7–17.2℃であったのに対し,枝加温装置内の温度は 29.2–32.4℃であった.果肉に温度センサーを差し込み測定した果肉温度は平均で加温区では無加温区の果実より 0.8℃高くなった.サーモグラフィーを用いた場合でも加温区では無加温区のものより 1.0–1.5℃高くなった.果肉の着色は,加温区のほうが無加温区のもより促進された.果肉細胞の大きさは加温区のほうが無加温区のものより小さくなった.スクロースリン酸合成酵素の活性は加温区で無加温区より高くなり,果実中のスクロースとフルクトース含量は加温区で無加温区より高くなった.
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© 2012 園芸学会
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