Journal of the Japanese Society for Horticultural Science
Online ISSN : 1882-336X
Print ISSN : 1882-3351
ISSN-L : 1882-3351
原著論文
テッポウユリ一年生実生の休眠導入および打破における温度の役割
Narges Mojtahedi増田 順一郎比良松 道一Nguyen Thi Lam Hai大久保 敬
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2013 年 82 巻 1 号 p. 63-68

詳細
抄録
屋久島(LYA),喜界島(LKI)および台湾の鼻頭角(LPI)に自生するテッポウユリならびに台湾の烏来(FWU)に自生するタカサゴユリおよび福岡(FFU)に定着し野生化したタカサゴユリの一年生実生における休眠導入および打破における温度の役割を調べた.LYA および LKI は夏季に深い休眠を有していたが,LPI,FWU および FFU は有していなかった.4 週間の高温により LYA および LKI は休眠に導入されたが 2 週間の高温では不十分であった.LPI および FFU は 8 週間の高温でも休眠に入ることはなかった.LKI および LYA の休眠は 6–8 週間の 15℃遭遇により打破された.冬季に行った実験では,すべての個体は 15℃では 22 週にわたって葉の分化を続けたが,20 および 25℃では葉の分化を停止した.30℃では FFU のみが新葉を展開した.琉球列島の北部に自生するテッポウユリ一年生実生における夏季休眠の導入および打破はそれぞれ高温および低温により決定されていることが明らかになった.夏季休眠を有しないテッポウユリおよびタカサゴユリは温度感受性を欠くかもしくは弱まることによって進化したものと考えられる.
著者関連情報
© 2013 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top