園芸学会雑誌
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岸根栗不結實の原因に就て
青木 連次
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1940 年 11 巻 3 号 p. 258-265

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抄録

山口縣玖珂郡坂上村に於て岸根栗が夏期に於て落果著しく爲に收量を減ずるの言あるに鑑み, 夏期落果の原因を確かめんが爲に小規模ながら2~3の調査實驗を行つた。その結果大要次の如き成績を得た。
1. 岸根栗には實用的に見て, 相當度の自家不結實がある。
2. 夏期落果の原因は蟲害による場合よりは不授精による場合の方が遙かに大きい樣である。
3. 雌雄花の開花期の相異により不受粉となる爲とも考へられたが, 實驗の結果は岸根栗では雌蕋の受精力の旺盛な時期と, 雄花穗の開花盛期とは極く接近して居り, むしろ岸根栗では開花期の關係は極めて良好と考へられる。
4. 以上の成績からすると, 夏期岸根栗の落果の最大の原因は矢張, 自家不結實性に在るものの如くである。

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