園芸学会雑誌
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貯藏菠薐草のアスコルビン酸含有量に及ぼす炭酸瓦斯の影響に就て
菅原 友太
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1940 年 11 巻 3 号 p. 288-299

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抄録

1. 本實驗は菠薐草のアスコルビン酸含量, 酸化酵素作用, 及び種々の程度に炭酸瓦斯, 酸素を含有する所謂人工空氣に植物體を貯藏し其のアスコルビン酸量の變化状態を檢したものである。
2. 新鮮で傷害を受けない菠薐草の葉片組織中には酸化型アスコルビン酸は存在しない樣である。又該組織中に於てはアスコルビン酸酸化酵素の作用も殆んど認むる事が出來ない。
3. 貯藏中植物體外圍空氣の炭酸瓦斯濃度の増加, 若くは酸素量の減少はアスコルビン酸含量を迅速に低下せしむる。斯るアスコルビン酸の損量は貯藏温度が高く炭酸瓦斯濃度の最高なる場合に最大であるが, 空氣中の酸素濃度を増すときは或程度迄炭酸瓦斯によるアスコルビン酸量の低下をとめる樣である。
4. 貯藏に依る生體組織中の還元型アスコルビン酸の減少量は硫化水素處理を行ふも完全に還元する事が出來ない。從つて斯る減少量は酸化型になる事のみに基因するものではない。

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