園芸学会雑誌
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ダイコンの色の遺傳研究 (II)
建部 民雄
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1940 年 11 巻 3 号 p. 300-316

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抄録

1. 赤×白のF1は赤紫色で, F2及びF3の分離は, 赤紫色9:赤色3:白色4比であることが判明した。
2. 紅條と赤との交雜に於ては, F1は赤紅條で, F2は赤1:赤紅條2:紅條1比に分離した。從つて既報の如く, 赤の遺傳子Rと紅條の遺傳子Rsとは等位にあるものと考へられる。
3. 紅心青に關與する遺傳子Rfは易變因子であつて, 屡ゝ白rへの轉化を示す (Rf→r)。
4. 紅心青×白のF1は, 根の外皮, 肉共に紫色であり, F2, F3に於ける肉色紫及び赤:白の分離比は, 略ゝ單性雜種比であらうと思はれた。
5. 紅心青×赤のF1は, 根の外皮肉共に赤色であり, F2に於て青頸赤肉1:赤皮赤肉2:赤皮白肉1比に分離した。從つて紅心青に關與する遺傳子Rfは, 赤に關與する遺傳子Rに對し等位にあるものと考へられる。
6. 紅心青×紅條のF1は, 外皮淡紫色の地色に紫條を有し肉色紫であり,F2, F3に於ける紫肉及び赤肉:白肉 (紫條及び赤條) の分離比は, 略ゝ單性雜種比であらうと思はれた。從つてRfとRsも等位にあるものと推察される。
7. 紫×紅心青のF1は, 根の外皮, 肉色共に紫色であり, F2に於ける紫肉及び赤肉:白肉 (紫皮及び赤皮) の分離比は, 略ゝ單性雜種比であらうと思はれた。
8. 以上の成績により考察すれば, Rf, Rs, R, 及びrの各遺傳子は, 複對立因子の一組を構成するものと思はれる。そして夫等は下の優劣關係にあるのであらう。Rf=Rs=R>r.

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