園芸学会雑誌
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葡萄の花芽分化並に花芽の發育に就いて
江口 庸雄加藤 照孝小出 正文
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1952 年 21 巻 1 号 p. 46-52

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抄録
(1) 1927年から1931年にかけて大阪と岐阜で甲州種とデラウエヤ種の2品種を撰び花芽分化並に花芽の發育に就いて實驗を行つた。
(2) 甲州種, デラウエヤ種共に6月中旬には成長點部が叉状に變つて假單條 (Sympodium) の形を示す。この時の標徴は茄子, トマトの花芽分化と似て居る。
(3) 甲州種, デラウエヤ種共に花房の分化期は6月中旬であつて, 6月下旬には小穗形成期に達して居た。
(4) デラウエヤ種の第2花房は6月20日~7月10日, 第3花房は7月8日~8月7日, 第4花房は8月29日~9月19日に形成され, 11月16日から12月29迄に小穗の分化が行われて居た。
(5) 甲州種の第2花房は7月10日に始まり, 第3花房の分化は極く稀であつたが, 7月30日~10月19日の間に在つた。
(6) デラウエヤ種は翌年4月11日に始めて蕚片が形成されて個々の花芽分化期に達し, 5月9日に肉眼で蕾が認められ, 5月16日に花粉, 胚珠が認められた。
(7) 葡萄の花芽は柿, 栗の場合とよく似て冬季中不完全な花芽の状態にあつて翌春3月から4月にかけて蕚片, 花瓣等の器官が形成され急速に發育して開花, 結實する。
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