抄録
1951年から1952年にわたり, 尿素が葉面撒布によつてりんご葉から吸收されるかどうかを檢するため, 青森縣りんご試驗場に於て2, 3の圃場及びポット試驗を行つた。試驗結果を要約すれば次の通りである。
1. 尿素は葉面撒布によつてりんご葉から吸收され, 尿素5ポンドを水100ガロンに溶かした濃度では葉を燒かなかつたが, 10ポンド100ガロン濃度では葉縁に若干の葉燒を生じた。
2. 尿素撒布はりんごの葉色, 葉中窒素含量 (全窒素及び蛋白態窒素), 新梢伸長を増加したが, 果色及び果實の大ぎさに對してはつきりした影響を及ぼさなかつた。
3. 尿素撒布によつて極度に衰弱し, 數年間花芽をつけなかつた若木紅玉樹は非常に樹勢を恢復し, その結果無撒布區の花芽は頂芽の2.9%に過ぎなかつたにもかかわらず撒布區では頂芽の28.4%が花芽を形成した。
4. 7月下旬から8月中旬にわたり尿素を石灰硫黄合劑及びボルドー液に混用撒布したが, 尿素は單用撒布同樣葉から吸收され, 藥劑混用による葉燒けは認められなかつた。