園芸学会雑誌
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蔬菜の根の生理に関する研究 (第1報)
蔬菜の根の酸素要求に就いて
位田 藤久太郎
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1953 年 21 巻 4 号 p. 202-207

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抄録
蔬菜の根の生理に関する研究の一部として根の酸素要求について, (1) 根の酸素吸収量の測定法, (2) 蔬菜類の根の水中溶存酸素吸収量, (3) 蔬菜の根の酸素吸収量と温度との関係の実験を行い次の結果を得た。
1. 多数材料を取扱う根の酸素吸収量の比較には, 分離根の水中溶存酸素吸収量を測定する方法がよい。
2, 水中で根は空中の大凡1/2~1/3の酸素を吸収する。
3. 夏の蔬菜6種, 秋, 冬の蔬菜14種間では根の酸素吸収量は夏蔬菜はイチゴ及びインゲンが多くてナスが少く, 秋, 冬蔬菜ではイチゴ, ソラマメに次いでエンドウ, ハクサイ, ホウレンソウ, チシャ, ダイコンが多く, フダンソウ, ミツバは少い。
4. イチゴでは乾物重当りの根の酸素吸収量は多くないが, インゲン, ソラマメなどでは乾物重当りの酸素吸収量も多い。これは根の中に呼吸にあずかる水素供与体或は酵素の豊富なことに基困するであろうが, 此の点については尚研究を要する。
5. 根の酸素要求量の多い蔬菜は一般に耐水性が弱い。
6. 夏の7種の蔬菜について0°Cから60°Cまで5°C毎に根の吸収する酸素量を測定した結果ナスのほかは0°~2°Cでも吸収が行われ, 低温期に生育するイチゴは低温下での吸収量多く, インゲンも比較的低温で酸素吸収量が多い。
酸素吸収量の最も多い温度はナス, トマト, トウガラシは50°C, キウリ40°C, インゲン35°Cで, イチゴは60°Cである。
7. 15°Cでの根の酸素吸収量に比し35°Cでは1.9~4.5倍, 45°Cでは2.1~5.3倍に増加する。
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