園芸学会雑誌
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ダリア塊根の形成・肥大に関する研究 (第2報)
根および塊根の解剖学的観察
青葉 高渡部 俊三相馬 和彦
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1961 年 30 巻 1 号 p. 82-88

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抄録
ダリアの根および塊根について解剖的観察をおこないつぎのような結果を得た。
1.ダリアの初生根は4原型の中心柱を有し,髄部のしめる部分はきわめて小さい。したがつて発育肥大が旺盛でなく,塊根化することはない。これは側根でも同様である。
2.実生苗では本葉2節展開期頃に子葉の基部に,最初2本の不定根を大体規則的に形成する。その後子葉節あるいは子葉節に近い節部(俗にクラウンとよばれる)から多数の不定根を生じ,その多くは肥大して塊根となる。
3.これらの不定根は中心柱の髄が初生根に比較してかなり広い部位をしめ,木部,篩部は髄の周囲に10~~25くらい放射状に配列され,いわゆる多原型維管束で初生根とは形態を異にしている。
不定根の肥大は形成層および木部導管附近の細胞の分裂と増大による木部肥大型をとる。
4.不定根の肥大の程度と2次木部導管環数および髄部の大きさ(すなわち形成層の活性度と細胞増大の程度)との間には密接な関係が見られたが,1次木部数と不定根直径との間には相関が認められなかつた。
本研究のとりまとめにあたつては,塚本教授の御懇篤な御指導をいただいた。ここに厚く御礼を申し上げる。
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