1.メロンの養分吸収過程を知る目的で,Earl's Favourite系品種を前報と同様に木箱栽培して時期別にsamplingをおこない,植物体の生育,果実の発育,糖度の変化ならびに植物体の各部位および全植物体の5要素吸収過程を調査した。
2.草丈の伸長は定植後5週間位までは旺盛であるが,その後は果実収穫時まで伸長の増加はみられなかつた。果重はネットの現われ始めた授粉後2~3週間目頃の増加がいちじるしかつたが,果実の糖度は果実収穫前2週間の増加がいちじるしかつた。
3.全植物体の窒素吸収量は定植後9週間目頃までは増加の傾向を示したが,その後は果実収穫時まで増加はみられなかつた。葉の窒素吸収量についてみると,定植後5週間目頃までは急激に増加し,その後の増加は9週間目頃まで緩慢となり,以後減少した。茎の窒素吸収量は葉に比して少なかつたが,その吸収過程は葉とほぼ同様な傾向がみられた。それに反し,果実の窒素吸収は全生育期間を通じて直線的な傾向をもつて増加した。これらの結果より葉および茎に吸収された窒素の一部は果実収穫2週間目頃になると果実に移行することがわかつた。
4.全植物体の燐酸吸収量は果実収穫時まで増加の傾向を示した。標準区および窒素Low level区の葉の燐酸吸収量についてみると,標準区では定植後3~5週間目頃の増加がいちじるしく,その後果実収穫時まで増加は緩慢であつたが,窒素Low level区では定植後3~7週間目頃の増加は緩慢であり,その後果実収穫時までほとんど増加はみられなかつた。一方果実の燐酸吸収は全生育期間を通じて直線的に増加した。
5.全植物体の加里吸収量は定植後3~9過間目の間は直線的な傾向をもつて増加したが,その後の増加は果実収穫時までやや緩慢となつた。葉および茎の加里吸収量についてみると,定植後9週間目頃までは増加の傾向を示したが,その後は果実収穫時までほとんど増加はみられなかつた。一方果実の加里吸収は全生育期間を通じて直線的に増加した。
6.葉の石灰吸収量は他の部位に比してきわめて多く,またその吸収過程は全生育期間を通じて直線的な傾向をもつて増加した。なお窒素の施用量が減少すると葉の石灰吸収量は増加し,またその含有率は大となつた。
7.葉のマグネシウム吸収量は他の部位に比してきわめて多く,また標準区のそれは全生育期間を通じて他区より大であつた。葉におけるマグネシウム吸収過程についてみると,定植後9週間目頃までは増加の傾向を示したが,その後果実収穫時までの増加は緩慢であつた。なお全植物体のマグネシウム吸収量は葉のそれとほぼ同様な傾向を示した。
8.葉,果実,金植物体の窒素吸収量を100とした場合の燐酸,加里,石灰,マグネシウムの吸収量比をみると,葉および全植物体の窒素に対する燐酸の吸収量比は全生育期間を通じて30~50の範囲内であり,生育時期による変化はみられなかつた。それに対し,加里,石灰,マグネシウムの吸収量比は,いずれも全生育期間を通じて直線的に増加した。一方果実の窒素に対する燐酸,加里,石灰,マグネシウムの吸収量比は果実のネットの現われ始めた交配後2~3週間目頃が最大であつた。
9.硫安を用いた窒素最適施用量区であるLow level区,ナタネ粕を用いた標準区の株当たり5要素吸収量は,N, P
2O
5, K
2O, CaO, MgO,それぞれLow level区が6.2, 2.6, 18.5, 15.5, 2.2gであり,標準区が7.6, 3.1, 20.5, 17.2, 3.5gであつた。
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