抄録
トマトの裂果を本格的に防止するには育種に頼るより方法がないので,その指針とするため抵抗性の品種間差ならびに抵抗性品種の抵抗性の分析をおこなうため,1957~59年にかけて試験をおこなつた。
1. 26品種について検討した結果,同心円裂果と側面裂果はBonny Bestやアーリアナ群のような早生品種に多く,とくにJune Pinkにはげしくあらわれた。放射裂果はRot Köppen, San Marzana,珠玉のようなコルク層のほとんどない品種には少なかつた。同心円裂果は葉型が小さく,果実が葉蔭になりにくい品種に多く現われた。
2. Crack-Proof,#135は果皮の強度が強く,果実の糖度が低く,そのたあに放射裂果に対して抵抗性を持つものと考えられた。
3. Crack-PrGof, 63A311は葉が果房を被うように附着するので,このために同心円裂果,側面裂果がきわめて少なかつた。
4.育種の目標としては単に果皮の強度,果実の低糖度だけを考えては十分な効果を期待できない。むしろコルク層が小さく,葉が果房を被覆するように附着するような型にもつていくべきとおもわれる。