抄録
果菜類のトンネルやハウス栽培中におこる高温障害の症状や温度と障害との関係を明らかにするため, トマト, キユウリ, ナスについて人工的に高温にあわせ, 茎葉や花に現われる様相を調査した。
50°C前後の高温によつて3種類とも比較的短時間で茎葉に直接障害が現われ, 葉焼けや茎の一部の壊死が認められた。
45°Cに5日間毎日3時間ずつあわせた高温処理区は, 葉色がやや淡くなるような外観的な影響はあつたが, 草たけや葉数の増加によつて生長を比較すると高温の影響はほとんど認められなかつた。しかし花に対しては顕著な影響が認められ, トマトでは着果率が著しく低下し, キユウリでは雄花の落蕾, 開花不能が起こつた。
高温処理後花粉の発芽試験を行なつたところ, 3種類の花粉とも高温処理区では発芽率の著しい低下が認められた。高温による結実不良や種子数の少ないためにおこる崎型果発生には花粉の発芽能力の低下が一因になつているものと考えられる。