園芸学会雑誌
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土壌量を異にした場合の果樹生育の種類間差異
平野 暁
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1964 年 33 巻 4 号 p. 287-290

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抄録
1. 湿重で45.0, 15.0および4.3kgの土壌を詰めたポットに, 9種の果樹の1年生苗をおのおの植え, 2年間生育を比較した。その結果, ほとんどゐ果樹において, 1樹当たりの土壌量が少ないほど生育が劣つたが, この傾向は, モモ, イチジク, およびブドウでとくに著しく, クルミ, ナシ, リンゴおよびビワでは中程度で, カンキツおよびカキでは軽かつた。
2. 単位土壌量あたりの根量をみると, 各種類とも1樹当たりの土壌量の少ない区ほど根量が多く, 土壌中の根の分布密度と樹体の生長量との間には逆の関係がみられた。しかし, この関係は, 種類の異なつた果樹の個体の間では認められなかつた。1樹当たりの土壌量がいちじるしく減少しても樹体生長量にあまり影響をうけなかつたのは, カンキッとカキである。これらは比較的生長の緩慢な種類であり, かつ前報で述べた根分泌物の生長抑制作用のあまりいちじるしくない種類である。
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