抄録
ミヤコワスレに対する低温ならびにGA処理以前の温度, 日長処理が生育, 開花におよぼす影響を調べ, また花芽分化前後に散布した種々の調節物質が生育, 開花におよぼす影響も調べた。
1. 低温処理前の10°C3週間処理は生育, 開花を促進した。しかし15°C3週間処理は効果が不じゅうぶんであつた。20°Cおよび25°C3週間処理区はまつたく発蕾しなかつた。日長処理が生育, 開花におよぼす影響は明らかでなかつた。
2. 花芽分化のために, 9月中旬から10月上旬までの3週間, 10°Cにて処理した後, ロゼット打破の目的で, 10月中旬から11月上旬までの4週間, 1°Cないし2°Cにて処理をなし, ついで11月上旬から12月上旬の問に, 2週間間隔で, 40ppmのGAを, 3回散布すれば, 12月中旬出荷が出来る。
3. 花芽分化に不適当な温度条件下で散布したNAA(10, 50ppm), TIBA (50, 100ppm), RNA (50, 100ppm) は花成を促進したが, 濃度および回数の影響は明ちかではかつた。一方GAは草丈伸長には顕著な効果を示したが, 花芽分化促進の効果はなかつた。
4. 花芽分化後, ロゼット打破に不適当な温度条件下で散布したNAA (10, 50ppm), Ethylene chlorohydrin (10,000, 50,000ppm), Kinetin (50, 100ppm) はロゼット打破にはまつたく効果なく, ロゼット状で開花した。しかし, GA (50ppm) 6回散布によつて完全にロゼット打破が出来た。そして開花を促進した。
5. 花芽分化と草丈伸長とは密接な関係があり, 花芽分化前ではGAも低温処理もロゼット打破には効果なく, GA散布は1時的な節間伸長をもたらすだけで, 散布中止後ふたたび頂部にロゼット葉を形成した。GAおよび低温処理は花芽分化後においてのみロゼット打破ができた。