園芸学会雑誌
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ダイコンのすいり現象に関する研究 (第6報)
すいりに及ぼす土壌ならびに肥料の影響
高野 泰吉
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1966 年 35 巻 4 号 p. 400-404

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抄録
肥培条件がダイコンのすいりにどのように影響するかを明らかにするために実験が企てられた。
置換性塩基の補給は置換容量に対する補給塩基の割合が多い区において, 根の肥大が進み, しかもすいり程度は低い傾向を示した。
しかし, Mgが相対的に多い区では生長が遅れ, その結果すいりの進行が遅くなつているようである。本実験の範囲内では塩基補給がすいり防止の全面的な有効手段とはなり得ないように思われた。
土壌改良剤PVAは土壌の団粒化を促がし, 土壌の物理性の改善にともない, 肥大根の生長を早め, その影響を介してすいりの程度も高まつた。早どりすればすの発現の少ない収穫物が得られるが, 土壌改良剤施用によるすいり防止には施肥法の改変が必要であろう。
肥大期における窒素りん酸および加里の施用が生長やすの発現に対し特異的な効果をもたらし得なかつた。
尿素の葉面散布は根の肥大を促がし, すいりの進行を遅くする傾向はあるが, 安定した決定的手段とはなり得ないように思われた。
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