抄録
1. 収穫期前後から冬期にかけてのリン酸や加里の供給について, それらの溶液の葉面散布が, 翌春の着花率ならびに花成のための養分集積に及ぼす影響を明らかにしようとした。一方, 冬期間の葉における花成のための養分生成と集積を阻害する管理の一つとして機械油乳剤の散布を行ない, 花成との関係を追究した。
2. 第1リン酸加里の1%溶液を成り年であつた温州ミカン樹に, 1月中旬~2月中旬に3回連続散布した場合, 0.3%溶液を12~2月に各中旬ごとに, 3回, 2回, 1回散布した場合, あるいは, 11月中旬から1月下旬に3回散布と各月に1回散布した場合, 翌春5月の着花量調査の成績のうち, 無散布に対して統計的に有意差があつたのは1~2例にすぎなかつたが, 果実の成熟~収穫期の11~12月に散布したものはわずかに着花量をますこと, 結果母枝の種類としては良好な春枝より弱小な春枝のほうに効果が表われやすいこと, おもに直花を増加させていること, などを知つた。
3. 11~12月に第1リン酸加里を散布した枝について, 1月の試料は無散布枝より全窒素がわずかに少なく, 炭水化物は多い傾向にあり, ためにC-N率が, 散布した枝のほうが高くなつている。
4. 12~3月に, 毎月機械油乳剤 (60%製剤, 95%製剤) の油分3%液を散布した。無散布枝に比して, 良好な春枝, 弱小な春枝ともに, 60%製剤の2月15日, 1月25日散布枝の着花率が少なかつた。3月5日散布枝はいずれも無散布枝と変らない着花率を示した。
5. 12月24日と1月24日に機械油乳剤3%液を散布した主枝, 無散布の主枝を設け, それぞれに11~2月の間に毎月摘葉した側枝を設け, 着花率を調べたところ, 散布1か月後の摘葉枝の着花率は無散布太枝の摘葉側枝のそれよりも8~18%低く, 双方の無摘葉側枝についても同様の差がみられた。