抄録
(1) 温州ミカンの夏葉では11月下旬に-4°Cで3時間の凍結に耐えるにすぎないが, 12月下旬には-6°C, 1月下旬には耐凍性は最高に達し, -7.5°Cで3時間の凍結にも耐えるようになつた。しかしその後耐凍性は急減して2月下旬には-6°C, 3月下旬には-3°Cで3時間の凍結に耐えるにすぎなかつた。
(2) 葉の浸透濃度は11月ごろから急増して厳冬期の1~2月に最高を示したが, その後は気温の上昇とともに急減した。浸透濃度と耐凍性の季節的変動との間には平行関係がみとめられた。
枝葉内水分含量は12月ごろから急減し, 1月に最低となり以後ふたたび増大した。
(3) 春枝の組織分化が完了して凍結状態に耐えられるようになる時期は11月中旬であるが, 夏枝では約2週間おくれた。また石川温州は青島温州よりも少しおくれた。この時期になると枝の材部にもデンプンの蓄積が起こるが, 葉とちがつて厳冬期にもデンプンがあまり減少しなかつた。葉中のデンプンは春葉では10月上旬から漸増し, 11月上旬に最高を示し, 以後は急減して12月上旬から2月中旬ごろまで最小値を示した。葉柄中のデンプンは葉とほぼ同様な季節的変動を示した。
(4) 温州ミカンの枝葉が凍結状態に耐えられるのは, 旬平均気温が10~13°C以下の期間であつた。
(5) 春葉に含まれる糖 (グルコーズ) は11月までは生重量当たり2%以下であるが, 12月以降急増して1月下旬には3%に達した。その後は急減して4月上旬にはふたたび2%に減少した。多価アルコール含量は常に生重量当たり0.5%以下でほとんど季節変動を示さなかつた。葉中の糖の増減はデンプン含量の消長と密接な関係があつた。
(6) 葉中に含まれる糖の種類の季節的変動は, 7月にはシュクローズが多く, グルコーズなどの還元糖は少ないが, 10~11月にはシュクローズが減少して還元糖, ことにグルコーズが増加し, 12月以降はシュクローズの増加が著しかつた。ラフィノーズは11月下旬から増加し, 1月にはかなり多量に含まれるが, 春になると著しく減少した。